「博物館をひらく─東京工業大学博物館編」
- 日時:
- 2016年3月21日(月・祝)10:00~17:30
- 会場:
- 東京工業大学博物館・百年記念館1階
- 主催:
- OpenGLAM JAPAN
- 共催:
- 東京工業大学博物館
- 協力:
- JSPS 科研費 26750104「文化施設のオンデマンド・フロアガイド創作−空間と作品情報のオープン化」
- 協賛:
- 国際マイクロ写真工業社
開催報告
東工大博物館の展示室や収蔵品を題材とし、Wikipedia / Wikimedia commonsの博物館関連情報を充実させるワークショップを2016年3月21日に大岡山キャンパス・百年記念館1Fにて開催いたしました。当日の参加者は、延べ37名を数え、盛んな議論と編集作業がおこなわれました。東京工業大学博物館を題材にして、博物館自身の紹介記事や展示・収蔵品を活用した既存記事への編集が進み、新規記事1編、加筆記事3編の成果が挙がりました。記事執筆だけではなく、収蔵品写真などを撮影し、Wikimedia Commonsに多くの画像コンテンツを蓄積していったのも大きな成果でしょう。これは、博物館でこそ可能となった取り組みのひとつだと考えます。
そして、午前の話題提供ならびに午後のワークショップの様子は、即時Twitterで呟かれ、現地に赴けなかった方にも会場の熱気が伝わっていきました。これらつぶやきはtogetterサービスにてまとめられています。また、参加者の方もBlogなどで当日の様子を記事にしてくださっています。主催者目線では、捉えられない視点や率直な感想をいただくことができました。これらの反響を活かし、今後も引き続き、東工大博物館を広く発信し、利活用可能な文化資源を提供していけるよう取り組んでいきたいと考えています(
東京工業大学博物館 Web siteより引用)。
タイムテーブル
- 10:00〜
- 開会の挨拶
- 10:15〜11:30
- <話題提供>
- 話題1
- 福島幸宏氏(京都府立図書館)「歴史資料を拓く─制度と慣例のあいだ」| 福島氏スライド資料
- 話題2
- 南山泰之氏(情報・システム研究機構国立極地研究所情報図書室)「研究・観測データを拓く - 国立極地研究所の取組み」| 南山氏スライド資料
- 11:30〜12:30
- <昼食>
- 12:30〜17:30
- <ワークショップ>(展示案内:阿児雄之、Wikipedia 案内:日下九八)
- 説明1
- 日下九八氏(東京ウィキメディアン会)「文化資源をひらくツール─Wikimedia Commons」
- 説明2
- 阿児雄之氏(東京工業大学博物館)「東工大博物館をひらく─資料のオープンコンテンツ化」
当日作成・編集された記事一覧
参加者等による報告・紹介
- 当日のtogetterまとめ http://togetter.com/li/952418
- OpenGLAM JAPANによる開催報告 https://www.facebook.com/OpenGLAMjp/posts/1249947218368245?hc_location=ufi
- Aycの日記「博物館をひらく 東京工業大学編」2016.3.26 http://ayc.hatenablog.com/entry/2016/03/26/112936
- マガジン航「博物館をネット上にひらく試み」2016.3.31 http://magazine-k.jp/2016/03/31/museum-open-to-public/
研究集会「図書館の空間機能と利用者行動をかたちづくるデザイン」
本研究課題*1では、文化施設(博物館・美術館、図書館、文書館など)におけるフロアガイドを対象とした調査分析をおこなっています。これまでの分析を通じ、担う機能の違いにより、フロアガイドに記載されている語句やピクトグラムの使用方法も異なることが判明してきました。各文化施設の運営方針や特徴の一部がそこに反映されているのは間違いありません。あるひとつの空間をどのように表現するか、来館者にどうやってスムーズな利用を促すかなど、工夫が盛り込まれています。
この度、特に図書館を対象として、これら工夫がどうデザインされているのかについて考える研究集会を開催いたします。研究集会には、『ライブラリー・リソース・ガイド(LRG)』第20号*2,3で「図書館のデザイン、公共のデザイン」を特集された李明喜さんと、各地の図書館キャラクターやブックパンケーキ*4などをデザインされてきた渡辺ゆきのさんを講師に招きました。
開催概要
- 日時:
- 2018年3月12日(月) 13:00〜17:00
- 会場:
- 東京工業大学 大岡山キャンパス 東工大蔵前会館(TTF)2階 大会議室
東急目黒線・大井町線 大岡山駅下車 すぐ http://www.somuka.titech.ac.jp/ttf/index.html
- 定員:
- 20名(申込順)
プログラム
- 13:00〜
- 趣旨説明・参加者自己紹介
- 13:15〜14:00
- <講演1>李明喜「図書館のデザインについて(仮題)」
- 14:00〜14:45
- <講演2>渡辺ゆきの「ブックパンケーキ 〜本棚へ行くわくわく〜」
- (休憩)
- 15:00〜16:00
- 東京工業大学附属図書館見学
- (休憩)
- 16:20〜17:00
- ディスカッション
キーワード:空間機能、利用者行動、サイン、キャラクター、フロアガイド、パンフレット
参考
- 文化施設のオンデマンド・フロアガイド創作−空間と作品情報のオープン化 http://www.floorguidedon.info
- 『ライブラリー・リソース・ガイド(LRG)』第20号 https://www.fujisan.co.jp/product/1281695255/b/1490955/
- 〈図書館のデザイン、公共のデザイン〉第1回 図書館におけるデザインとは何か?(マガジン航) https://magazine-k.jp/2017/11/27/library-design-01/
- ブックパンケーキ http://kumori.info/bp/
開催報告
文責:宮前知佐子(東京工業大学)
【趣旨説明および自己紹介】
主催者の阿児(敬称略)より、研究会の趣旨説明があった。文化施設(今回は図書館に注目)の空間づくりを調査して行く中で、研究成果のまとめとして、李、渡辺両氏とのディスカッションを実現できるに至った、しかし一人だけで聞くのは勿体無い、日々問題意識を持っている関係者の方々へも、良いヒントとなるのではないか、という着眼のもと、今回の研究会を開催するに至ったとのこと。自己紹介では、各々、普段の業務の中で抱えている問題点なども交え、一歩踏み込んだ発言をしている方が多かった。
【講演1】
はじめに、これまでに携わってきた仕事についての紹介があった。デザインの観点からの「空間づくり」が主な仕事内容であった。入れ物だけをデザインするだけではなく、「人」が訪れたときに、その人が、その空間にどう作用するか。単に、その機能(例えばカフェやコミュニティスペースなど)や使い心地を改良するためのデザインではなく、その入れ物が使われるプロセスを意識したデザインだという印象を受けた。
その中でとりわけ興味深かった話は、その場に、普段目にしない「もの」が存在した時に、子どもたちは、とりあえずその「もの」を触って使い方を生み出していくのに対し、大人は、とりあえず知っている人に聞く、という違いがあったというもの。たしかに、普段、解決手法を急ぐあまりに、回り道をすることで得られる別の知や経験は損しているかもしれないと改めて認識した。建物や掲示物を一新しなくても、空間をデザインし直すことは可能だと考えさせられるレクチャーだった。
【講演2】
渡辺氏より、ブックパンケーキの紹介およびワークショップの概要の説明。その後のワークショップの結果については、次節を参照のこと。
ブックパンケーキとは、およそA4サイズ程度の円盤型のインデックスである。円盤型のインデックス全体が1つのキャラクタになっており、円盤の半分程度を本棚に差し込んで利用するものである。子どもたちが、本の森の中で、かくれんぼをしているようにも見えるキャラクタたちを追いかけて行くうちに、様々な本と出会ってもらう、というのが、ブックパンケーキのコンセプトのようであった。
ワークショップは2段階構成で、前半は、「自分が小学生の時に欲しかった図書館の機能は」という題目に対して、できる限りの要望をリストアップすること。後半は、小グループに分かれ、意見を共有し合い、これはぜひ実現してほしいという意見を話し合い、その後、選ばれた意見を全体でも共有する、というものであった。
【雑感】
最近の図書館や本屋さんは、明るすぎるし、親切すぎるのではないか、と常々感じていた。ワークショップでも出た意見だが、昔は、図書館といえば、薄暗く、時として、カビ臭いし、ジメジメしている(実際にはそうではないが、そういうイメージ)場所であった。探している本(そもそもタイトルすら分からなかったりする。漠然と当たりをつけて探すしかない)も、すぐには見つからなかった。キーワードを入れれば全文検索して答えを出してくれるターミナルなどなかったし、司書の先生は、怖そうで近寄り難かった。
しかし、最近の図書館はどうだろう。カフェが併設されていたり、明るく居心地の良い、ホスピタリティ溢れる素敵な空間に様変わりしてしまった。
それはそれで良い変化なのだと思う。だが、本を探すときのワクワク感までもが削ぎ落とされてしまったようにも感じるのだ。それと同時に、目的の本を探すまでの、偶然の出会いもなくなってしまった。
昔は、困ったことがあれば、図書館に行った。図書館とはそういう機能を有していた。ところが、最近では、何でもインターネット上の検索窓にキーワードを放り込めば、最短最速で答えが出てくる。何しろ、旅先で急に産気づいた若い女性が、最後に頼ったのはYoutube、動画で確認しながら一人で出産をしてしまったというニュースが爆発的にアクセスされているほどである。調べごとをするための図書館、ではなくなって来た今、図書館は、新たな意義、新たな機能を問われている。その中において、今回の研究集会で議論されてきた、スマホ世代と高齢者両方に合わせたサインの在り方や、空間のデザインというキーワードは、今後の図書館業界や公共の文化施設の動向を見直す小さな一歩になるのではないかと感じている。
【ワークショップ結果】
※なるべく原文のままで記載
- 学校司書さんが常時いてくれたら良かったな
- 図書館の中に「誰にも見られない空間」がある
- くつをぬいで、寝ころんで読める
- カードゲームやボードゲームがある図書館
- 使い方(本が読める以外の)がわかりやすく紹介されている図書館
- 日あたりは良い。うす暗いと小学生にはこわいと思います。
- みんなの貸出記録(貸出カード)が見たい。 ※出してもいい人だけ(隠したい人は隠せる)
- カスタマイズしたい!! 好きな本で、好きな姿勢で、好きなだけ…
- その場で色々展開可能。読む→創る
- 本棚の前にイスを置いて欲しい「そうですよね、しんせつな」
- 学校の入口近く、教室の近くに、行きやすいところに図書館ほしいな「ほしい」
- 流行の音楽が流れている
- アグレッシブ系と内向系を両方サポートするためには?→すごもり系と星は見える系
- 大人向けの本(読めなくても)や世界中の本がある→情報の境界をつくらない
【質問事項】
※なるべく原文のままで記載
李さんへ
Q. (YCAMの様に)子どもがメディア・アートを体験するスペースをデザインされた様に、本(読むことと見ること)と創作活動が繋がる空間を作ったことはありますでしょうか。あればそのコツは?
Q. 図書館づくり(建築からではなく)は分かるが、集合知(実践コミュニティー、周辺参加、居場所)で乗り越えられるか?
Q. デザインした空間を継続的に機能させるためには、人材が必要だと思いますが、そのあたりは?
Q. 「デザインをする」「デザインを考える」ということを、自身の仕事の範ちゅうだと思っていない図書館職員(公共)に対して、意識の変化・向上・統一するためのアイデア等はありますか?
Q. 向きの違うフロアマップを作る時、全てに共通する向きが分かる印(方角のマークみたいなもの)は入れた方がよいのでしょうか。
Q. 先ほどのお話の中で、「立ち位置から見たMap」をつくるのが当たり前になりつつあるという話が出ました。これはデザイン性が高くて当たり前ということでしょうか?今働いている図書館の人たちは、「余力があればするもの」という雰囲気です。
阿児さんへ
Q. ピクトグラムを使う時の注意すべき事などはありますか?
Q. サインのリサーチをされていて印象的な図書館はありましたか?
ゆきのさんへ
Q. あらたな出会いを美術館でうみだすためには、どんな仕掛けが必要ですか?
orどんなかんじがよいですか?
全体
Q. 「文脈棚」にふさわしい空間デザインはどんなものですか
Q. 本を読む行為に伴う、「考える」「興味が広がる」「新しく知りたいことが増える」などの営みを生みだすデザインはどんなものですか?
Q. 図書の館⇔学修空間、本の存在感はどこにあると考えますか
Q. Libraryを図書館と訳していますが、他に良い呼び名はないのでしょうか?
Q. 美術館と図書館が完全独立している場合、どうコラボするのがよいと思いますか?
Q. 図書館での話し声はどの程度気になりますか?
Q. 日本一、世界一の図書館を教えてください
Q. サインの大きさについて、空間的にあまり目立たないほうが格好良かったりしますが、わかり易さという観点からは大きいほうがベストと思います。適切な大きさとは?
Q. 日本の多くの予算の仕組みと、つくりながら考える、使いながらつくる、がなかなかなじまないと思うのですが、うまくいかせるコツ、戦略は?